売主の義務が無い

競売物件を手に入れる際に気をつけなければいけないことは「売主」が存在しないということです。従って、通常の売買では生じる「買主」の権利も成立しないという特徴があるので気をつけましょう。所有権の移転やその不動産を買主に引き渡すという義務が通常の不動産売買の売主、または仲介や代理業務を行う会社には存在します。

しかし、この引き渡し義務は多岐にわたります。賃借人などが移住者にいる移住用の物件ならば、そこから立ち退いてもらわなければいけません。また、ガスレンジ・照明器具・エアコンといった住宅設備の点検や使用説明、鍵の引き渡しなどもその責任に含まれます。その他、敷地の境界を隣家立会いの元で行い、買主に説明する義務などもあります。権利関係では抵当権や賃借権が設定してある場合引き渡し期日までに解決しておくことも含まれています。

このような義務は裁判所にはありません。所有権の移転以降は自分の手で行わなければいけません。そのため、もしも物件に住んでいる人がいれば明け渡しを要求するのは買主の義務となります。これを怠るとせっかく購入した物件なのに使用することができないという事態にも陥ります。さらに空室だった場合にも鍵を渡してくれることはありません。専門業者を呼んで開錠しましょう。